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2013年5月28日火曜日

t. ボクのルーツ

ルーツシリーズ第三弾ww 今回で完結です。はい。こんなヘボシム達がメインです。
メインといっても、それを取り囲む人たちを描きたいので、毎回違う人、みんなが主人公です。
今回のルーツ、誰の誕生のお話だか分かった方は凄いwww あめちゃんあげます。


で、エロスのテーマは「古より愛をこめて」です。古人(いにしえびと)から最後に贈り物があります。
この古のエロスの部分、読まれた方の妄想力ww もとい、想像力にお任せしようと思ったのですが、
いつも拝見しているステキなクリエイター様のところで、今回にぴっったりなオブジェがあったので、
それを使ってSS撮らせていただきました。そのオブジェはこちらです。ありがとうございます。


三十年前のお話設定ですが、時代錯誤な部分があります。それは今のヲタ文化の方が好きなので。

あと、歴史をちょいといじくっております。なにぶん「妄想劇」なので、お許しくださいませ。















確かに眩い光の中で私は歌っていた。

この光景に慣れるのに時間がかかった記憶がある。

何故わたしはそこに立っていたのだろう。

今思い出しても、現実ではなかった気がする。
















両親の友人のスナックに初めて連れてこられ、

大人になったようで、嬉しくて有頂天になった私はカラオケセットで歌い始めた。

子供の頃から聞かされていたテネシーワルツである。



♪ I was dancin' with my darlin'

To the Tennessee waltz,

When an old friend I happened to see. ♪


♪ Introduced her to my loved one,

And while they were dancin',

My friend stole my sweetheart from me.



♪ I remember the night,

And the Tennessee waltz,

Now I know just how much I've lost,

Yes I lost my little darlin',

The night they were playin',

To the beautiful Tennessee waltz . 









歌い終わって頭を下げると、カウンターの奥に座っていた男が両親に話しかけてきた。
わたしは続けて愛の讃歌を歌い始めたので、三人が何を話しているか聞こえなかった。






満足して歌い終わりカウンターの座りにくい背の高いいすに、
ヨッコラショと腰掛けるや否や

「なんです?年寄りくさい。お止めなさい」 と母に叱られ、目が飛び出そうになる。




(何で急に丁寧に怒ってるの?)





次は父が「おほん!」 と漫画のような咳払いをし口を開いた。


「このお方は織田プロダクションの社長さんだそうだ。

お前を歌手としてスカウトしたいと言ってきている。

急な話だ。お前が納得い くまで考えてから・・・・・・・・」



とそこまでいうと、遮るように母が割って入った。



「何を言っているの。こんなチャンス滅多に無いわ。

お引き受けするに決まっているじゃない。

織田さん、娘を宜しくお願いします」






私と父と二人でポカーンとしたが、


母は日頃から  「シンデレラのような話、降ってこないかねぇ」


と言っては「棚ぼた」を待っているような人である。

父も思い出したようで、それ以上口出ししなかった。






「で、君名前は?」





「宇美茶 闇衣。やみにころもで闇衣です」



「闇衣、君。。。不思議な名前だね。インパクトあるよ。

『YAMii』で売ろう。YAMiiは僕が直接マネージャーをしたい。いいね」






「あ、・・・は、はい・・・」



ものの30分でわた しのデビューは決まってしまった。





残暑のキツイ十四歳の夜だった。










それからは忙しくて余り覚えていない。


『天使の歌声』なんておこがましいキャッチフレーズを付けられ売り出された。


とりあえず会社の寮に入り、
テレビ局、ラジオ局回りをし、
アキバ・ハラでライブ、握手会をし、、、


WooOooーーー!!! YAMiiーーー!!!


みんなーーー!!! 乗って乗ってーーー!!!


GoOOOOーーー!!!

YiIIIIIIIーーー!!!

AiIIIIIIーーー!!!

 MuUUUUUU---!!!

IiIIIIIII---!!!

IiIIIIII---!!!

OoOOOO---!!!


「みんなーーー!!! すごいねーーー!!! 揃ってる揃ってる!!!」
たのしいねーーッ!!!」


「ねぇ? みんなも楽しんでるーーー?」

ウォーーーーーーー!!!!!

「おーーー!!! やったー!!」



「次はみんな大好きなアニソンにしちゃおーかなぁ」




「みんな好きだよねー?」




「えーーーー? なにーーー? 聞こえなーーーい?」




ウォーーーーーーーーーー!!!!!!


「OK! OK!   じゃ、ハレ晴レユカイ、歌っちゃうよ!」



(曲流しながらどうぞwww)
























 






























「今日はみんな、ありがとねーーー!!! それでは最後に皆さんでご一緒にーーー・・・・」




ハートビーーーーーーーーーム!!!!!










「みんな気をつけて帰ってねーーー!!! バイバーーーイ!」




















「アメリカからいらしたんですか?」


「遠いところからありがとうございますー!」



(ヒッ!!! イレズミ。ややややっちゃんですか?)



(顔引きつってないかしら?)







「やっぱYAMiiちゃんだよな~。握手にいっぱい時間取ってくれる。最高っす」











(あれ?わたしってアイドルなの?)

気付くのが遅い・・・・・・?


そういえば大好きなジャズ歌わせてもらってない・・・・・・・・


その日のスケジュールが終わり事務所へ帰った闇衣は、恐る恐るマネージャーに尋ねた。








横浜、某所・・・・・・・・・・・・・・








「わ、わたし、じゃ、ジャズが歌いたいんですけど・・・」







「ジャズ? ハハハ!、 あ、ごめんごめん。君の年でジャズはないわぁ。
ハッキリ言って売れないよ。 それに今、時代はアイドルなの」





「そ、そうですか・・・・・・・・」


「あ、それと。そのドモリ、直した方がいいよ。上がり性なんだね。

コンタクト外してごらん。みんなカボチャだ。なら怖くないだろ」






そう言うと3Dのように織田の顔がニューッと近づいて来た。


その瞬間私は堪られずそこから逃げ出していた。

























事務所の近くの公園。。。


私はブランコに揺られていた。



頬が火照ったまま取れない。



あーびっくりした。

「これは?・・・恋なの・・・かな?」



先ほどまでの出来事を頭に巡らせていると、



「あ、先客がいた。隣座っていい?」



「あ、ど、どうぞ」



「この時間にブランコなんて、何か悩みごとだよね?
よかったら聞いてあげるよ? YAMiiちゃん」



バレた。




「私、華織っていうの。毎晩ここに来てるんだ」


(毎晩? じゃ、この子も何か悩んでるんだ)


根拠の無い安心感で、たった今会ったその子に話してみることにした。




事務所と自分が思い描いたいた方向性が違う事。
織田への思いは何なのかと言うこと・・・・・・・・



「その織田さん? 織田さんは、ちゃんとヤミーちゃんの事見ててくれてて、
今出来ることをやらせてくれてるんじゃないかな? 
ジャズはその内、沢山出来る日が来るよ、きっと」



「それと織田さんへの思いは恋だと思う。私も好きな人いるからわかる」


「////・・・そ、そうなのかな。・・・・・・お返しと言ってはなんだけと、
か、華織ちゃんの悩みきいてあげたいな」



「私ね・・・・・・銀柳組組頭の娘なの」


「へっ?」


「これ聞くとみんな逃げていくの。もう慣れっこよ」


「逃げない逃げないよ。私も水商売だもん、似たようなもんだよ」



変な慰め方も あったもんだ。


「フフ。ヤミーちゃん面白い」



それから華織ちゃんも色々話してくれた。

お父さんが子離れしてくれないこと、

お父さんが一番の子分と華織ちゃんを結婚させようとしていること、

敵対している組に好きな人がいること・・・・・・・・



なんて私の悩みはちっぽけなんだろう。

恥ずかしさでいっぱいになると同時に嬉しさが込み上げてきた。

こんなに大事な悩みを打ち明けてくれたのだ。

きっと私にも共有してほしいからに違いない。



と自分勝手な解釈をした。
また会ってくれないかなぁ・・・・・・・・




「ヤミーちゃん、また会ってくれないかな?」



また驚かされた。

先に言われてしまった。



「よ、喜んで」


「私毎日ここに来てるから、来れるときに来て。 約束よ」


「うん。わかった」



すると丁度そこに織田が探しに来た。



「おーい、探したぞー。帰るぞ」





「華織ちゃん、またね! バイバイ!」




「うん。ヤミーちゃん、バイバイ」



私は華織ちゃんに手を振って織田のもとへ帰った。













あれから四年・・・・・・・・

長いようで短かった私たちの青春。




華織とは親友になれるほど濃い時間を過ごしてきた。

ショッピングに行ったり、カフェに行ったり、時間がとれるときは遊園地へ行ったりもした。

私は相変わらず忙しい毎日だったが、華織を見習ってポジティブに生きてきたつもり。





華織にもこの四年、目まぐるしい変化があった。

意中の男性との恋が成就し密かに逢瀬を重ねてきたこと。

相変わらず娘依存な華織のお父様。

『私も親離れできない。自分が鬼にならないと』 と言っていた華織は、

興味のあった演劇を学ぶためにに海外留学を選んだ。









そう今彼女はここにいないのだ。

寂しいけど思いきった決断をした華織を応援しないと。

でも彼女がいないとまた弱気な自分が出る・・・・・・・・




(最近連絡来ないなぁ。成功してる証拠だよね)






十九歳というと微妙な時期である。

アイドルにも大人路線にも中途半端で、

私を売りにしてきた織田プロダクションは経営が傾いていた。

新人育成を疎かにしてきた結果だ・・・・・・・・











「ただいま・・・・・・・・」


「? お帰りなさい・・・・・・・・また飲んできたの?」


「ああ・・・・・・・・」


そう。。。私たちは今、事務所兼自宅で同棲している。

「毎日お酒飲むと体に悪いんでしょ?止めた方が・・・」




「結婚しよ」





「何言って・・・・・・・・」



「会社はもうだめだ。銀行はどこも金をかしてくれない。

友人にも断られた・・・・・・お前が事務所に所属してるうちに倒産なんて・・・・・・

お前の名前を汚したくない!」







「でもまだ方法があるんじゃ・・・

酔ってるときにそんなこと考えちゃダメ!

私今まで以上に頑張るから!」



「闇衣・・・」



顔を近づけてきた。



(お酒の匂い…)




「うッ!」




私はその匂いに堪らずに駆け出した。




うゲーーーッ






(あー、消費期限一日切れた牛乳、、、お腹が負けた~)




「闇衣、、、お前出来たんじゃないか?」


「え?」


「赤ん坊だよ」


「あ、赤ちゃん?」







(そういえば生理がこない・・・)




私のアイドル生命はあっという間に終わった。














約8ヶ月後・・・・・・・・・



「ありがとな」







「どういたしまして」


(あれ? 赤ちゃんは? ご対面まで時間かかるのかな?)




「あ、あの・・・」




そこへ看護師が入ってきた。




「織田さん、ちょっといいですか?」




「闇衣、疲れたろ。少し寝とけ」


「う、うん。そうする」




「田中さん、診察の時間ですよ。診察室行って下さいね~」





「はーい」




















引退宣言して暫くは、てんてこ舞いだった。

『YAMii引退』 『YAMiiデキ婚 相手はマネージャー』 『織田プロ倒産』

と新聞を賑わせた。

織田は私の代わりに矢面に立ってくれ、バッシングを受けた。

でもそんなことも、人の噂も七十・・・何日だっけ?

あっという間に忘れ去られた。









織田プロダクションが倒産してからは、新たにイベント・企画会社を立ち上げ、

私も臨月まで事務的な仕事を手伝って、ようやく軌道に乗ってきた。








「お腹が苦しくて、ここのところあまり寝れなかったから、

寝させてもら・・っちゃ・・・・お」




クー。。。。。






















何時間寝てたのだろう。。。







「あれ?  まだ赤ちゃん来てない」



「闇衣、起きたか?」



「うん。・・・・・・わたし、結構寝てた?」



「ああ。鼻ちょうちん出してな」



「うそっ!////」



「ハハ。。。嘘だよ」






「もうっ!////・・・・・・あ、看護師さんなんだって?」



「うーん・・・・何から話せばいいか・・・・」



「・・・・・・・・・・ひょ、ひょっとして死産?」



「いや、それは無い。元気な赤ちゃんだったよ」



「よかった~」




「・・・・・・・闇衣、よく聞いてくれ。

・・・・・とその前に。闇衣のご先祖さんに占い師はいるか?」



「う~ん・・・・わからない・・・・」



「そうか・・・・・・・・じゃあ、歴史は得意か?」




「恥ずかしいくらい、全然」



「そうか。かえって好都合かもな。・・・・・・簡単に説明するぞ」



「???」




「俺さ、、、言ってなかったけど。 偉い武将がご先祖でさ。

実家・・・・あまり好きじゃないからから、言いたくないんだけど・・・・・

その弟の信勝が占い師・・・刹那丸をめっぽう贔屓にし愛でていたそうだ・・・・・・」
































































「逢引し逢瀬を重ねる中・・・・・・・・

『男を愛でるとは何事』 と兄の家臣に暗殺されたそうだ。

占い師共々な」



「・・・ん?え? 今男って言った?」



「ああ・・・言った。

正確には刹那丸は男性器と女性器を併せ持つ半陰陽〈ふたなり〉だったらしい。

占い師は息絶える直前、家臣に言ったそうだ。

『輪廻の如く蘇り、織田の名を根絶やしにするだろう』 と。

・・・・・・ま、これは嘘だな。 じゃないと俺がここに存在する分けがない。

同じように生まれた者を討つために、織田家が作った言い訳だな。

だが・・・・・・・」



「だが?」



「気になって実家の蔵にあった見聞録などひっくり返してみたことがあるんだが、

刹那丸、・・・占い師側の家系で平安時代から百五十年置きに半陰陽が生まれてるそうだ」



「その話を今するということは・・・・」



「そうだ・・・・・・俺達の子は半陰陽だ。」



「え、え、?! まさか・・・同じように、・・・う、討たれちゃうの?」



「ハハ。。。さすがにそれは無いが・・・・・でも、今でもそれを信じる親戚筋がいる。

俺達の子がふたなりだと知ったら、きっと俺達は別れさせられる」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「隠し通せないのね?」



「ああ。いずれは知れる事になる」



「それまでは一緒に暮らせるのね?」



「ああ」



「じゃあそれまでは、いっぱい、いーっぱい愛し合いましょう」



「闇衣・・・・・・・・」







そこへ看護師が赤ん坊を連れてきた。











「織田さん、お話終わりました?」






「おめでとうございます。元気な赤ちゃんですよ」








「私ね、もう名前考えてあるの。

美しい勇気で 『美勇』 。

・・・・どうかな?」



「ああ。いい」







私達は五年後、約束通り円満離婚した。